金柑画廊は、名和真紀子写真展「小さな旅」を開催いたします。
彼女は、10年程前に一人暮らしの男性の部屋を一人で訪ねてポートレートを撮影していました。恋人でもなく家族でもない、友人の時もあれば、撮影をきっかけに出会った人の時もある。ポートレートを撮影することそのものに、その場限りで起こりうる「親密さ」が生まれて、男性のプライベートな空間に女性が入るという行為でまた別の「許す」という「親密さ」が生まれてきます。彼女の写真に現れるその「親密さ」の距離感がこの写真の面白さでもあります。誰にでも見せているようで見せていない顔、自分だけのテリトリーである部屋に踏み込ませる側の決意というと大げさですが、見る側もそこを覗いてみたい、身近にある小さな秘境なのだと思います。「小さな旅」は、隣にある秘境を訪ねる旅でもあるのです。
今回の展示では、新たに撮り下ろしたポートレート作品が並びます。この機会に是非お立ち寄りください。(太田京子|金柑画廊)
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名和真紀子写真展「小さな旅」
2019.1.12 Sat – 2.3 Sun
木・金・土・日・祝 開催
12:00-19:00
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※1/20(日)18時からトークイベントのため、通常展示は17時までとなります。ご了承ください。
教えてもらったマンションのエレベーターを待っていると、スーパーの袋を持った人が、寒いですね、と声をかけてくれる。とっさに住人になったつもりで、エレベーターのボタンを押して挨拶を返す。
廊下の一番奥にあるピンポンを押すと、ドアを開けてくれた彼は初めて会ったのに意外な感じがする。友人の少しの説明とメールのやり取りで何か想像していたせいかもしれない。ベッドルームを横目で見ながら入ったリビングで、ちょっと高すぎる椅子に座ってコーヒーを入れてくれるのを待つ。紹介してくれた友人のことや窓から見える景色のことを話す。行きつけのお店でご飯を食べることや、タンゴに通ってること、子供の頃に仲が悪かったお兄さんと二人でよくゴルフに行くようになった話を聞く。私の好きな小説がおいてある。
撮り終わって帰るとき、出かける用があるからと、ドアに鍵をかけてカメラバッグを持って送ってくれた。
名和真紀子 Makiko Nawa http://nawaphoto.com/
岡山市生まれ。大阪で大学に通っていたころ、友人に写真部に誘われたことがきっかけで写真を始める。スタジオ勤務、アシスタントを経て、2003年以降フリーランスとして活動。ポートレートを中心に風景、ジャンルを問わず撮影する。雑誌や書籍、CDジャケット、広告Webなどで活動。近年の個展として「地図がなくても」(2017)などがある。
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トークイベント:「小さな旅」
名和真紀子 × MOTOKO
1/20(日)18:00-
入場料:¥1,000 +1ドリンクオーダー
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写真家のMOTOKOさんをゲストにお迎えしてトークを開催いたします。
「ローカルフォト」という地域に根ざした新しい概念を提案するMOTOKOさんと「小さな旅」でポートレートを発表している名和真紀子さん。自撮りで気にいるように自分の写真が撮れてしまうこの時代に”ポートレートを撮ること”がどういう意味を持ってくるのか。MOTOKOさんは地方へ、名和真紀子さんは彼らの自宅へと足を運びます。ポートレートを撮ることで彼女たちが何をしようとしているのか、それぞれの撮影現場のお話なども含めながらざっくばらんに話していただきます。
MOTOKO http://reallocal.jp/49420
写真家。1996年から写真家として東京を拠点にCDジャケットや広告など幅広く活躍する。2006年より日本の地方地域のフィールドワークを開始。滋賀県の農村をテーマとする「田園ドリーム」の撮影をスタート。2013年香川県小豆島で写真展「小豆島の顔」を開催後、小豆島在住の7人の女性のカメラチーム「小豆島カメラ」をオリンパス(株)とともに立ち上げる。以降、様々な地方で、写真によるまちづくり活動を実施。近年は “地域と写真” をテーマに「ローカルフォト」という“コマーシャル(public)でもなくアート (private) でもない、その間にある写真” という新しい概念で多くの官民連携のプロジェクトに参画。
主な事業として「長浜ローカルフォトアカデミー」、神奈川県真鶴町「真鶴半島イトナミ美術館」、山形県山形市「ローカルラーニングツアー山形」などがある。
近年の展覧会に、「田園ドリーム2018』(オリンパスギャラリー東京)、「田園ドリーム」(銀座ニコンサロン 2012)、小豆島の顔 (2013 小豆島2013)、作品集に「Day Light」(ピエブックス)「First time」(ソニーマガジンズ) 「京都」(プチグラパブリッシング) ほか。