金柑画廊

Closed

Blog

2019.03.10

Kiyoshi Niiyama “KONTAKT” 2019.3.30 Sat – 4.28 Sun

金柑画廊は、新山清の写真展「KONTAKT」を開催いたします。新山清が数多く残したコンタクトプリントからセレクトした約36点の6x6判のヴィンテージプリントを展示いたします。新山清(1911-1969)は戦前から戦後にかけて活動した写真家です。風景から人物まで、様々な作品を数多く残した新山清。真摯に自由に写真を撮り続けた彼の作品は、“Subjektive Fotographie”(主観主義写真)を提唱したドイツ人写真家のオットー・シュタイナートによって広く世界に知らしめられ、国内外で評価されています。ご子息である新山洋一氏曰く、撮影はもちろん暗室作業にも大変熱心に取り組まれていたそうです。コンタクトプリントとは、現像したフィルムを印画紙に密着(コンタクト)させて原寸プリントしたもの。自身の手で一枚一枚丁寧に焼いたコンタクトプリントが数多く残っていることからも、暗室作業への情熱が見てとれます。写真をトリミングした痕跡も残っており、彼の写真に対するこだわりや美意識、作品制作のプロセスを垣間見ることができる貴重な資料でもあります。今回の展示に向けて制作した書籍「KONTAKT Kiyoshi Niiyama」の販売も予定しておりますので、この機会に是非お越しください。
(太田京子|金柑画廊)

 

「親父の写真、見てみる?」
と息子の洋一さんから誘われたのは、今から10年程前のことだろうか。
新山清という写真家の名前すら知らなかった僕は作品を一枚一枚を見ていくうちに、じんわりと新山清の世界に惹かれていった。そこには好きなものとじっくり向き合って写真をつくる純粋な喜びみたいなものが溢れていた。目を輝かせながら、楽しげに話す洋一さんの姿はさらに印象的で、当時自分の写真表現に試行錯誤していた僕は「ごちゃごちゃ考えてないで、好きな写真を撮ればいいんだよ」と新山親子に言われているようで、なんだか勝手に救われた気持ちになったのを憶えている。

新山清は戦前から1969年に亡くなるまで、周囲の評価や時代の風潮を気にせずに自分の撮りたいものだけを撮りたいように撮影し、暗室でもあらゆる手段を使用し自由に表現をしてきた写真家だった。
カメラは高価なものではなく、廉価なカメラを使用し、フィルムも決して無駄に使わずにバシャバシャと乱写することはなかったようだ。さまざまな対象をモチーフとはしているが、その中でも特に風景写真を数多く撮影した。
切り取る風景はどれも緻密に考えられており、その構図は「新山フレーミンング」とでも呼べるほど独自なもので見ているものにいつまでも飽きさせない不思議な魔力がある。
当時の写真雑誌で新山清はこうコメントしている。
「自分のからだにじかに感じる風景の内面的なものを写したい。そんな気持ちから私は作画行動をしているが、なかなか思うように写らないものである。引き伸ばしてみるたびに力の足りないのを痛感する。そして、風景のむずかしさにいささかへきえきしながら、風景への思慕はますます深くなっていく」

ここには新山清の写真に対する慎ましくも真摯な姿勢が伺える。新山清の写真が今見ても全く色褪せることなく映るのは、このような無垢な姿勢と視線が見る者の目や心までも純粋化させるからではないだろうか。
(酒 航太|スタジオ35分)

----------
Kiyoshi Niiyama "KONTAKT"
2019.3.30 Sat - 4.28 Sun
木・金・土・日・祝 開催
12:00-19:00
----------

新山清 Kiyoshi Niiyama
https://www.niiyamas.net

1911年愛媛県生まれ。東京電気専門学校卒業。1935年に理化学研究所に入社。パーレットカメラの同人会のメンバーとして写真家活動を開始し、作品を多くのサロンや国際的写真雑誌に発表。ロンドン・パリ・サロンで数点が入選、雑誌アメリカン・ポピュラーフォトグラフィー、フォトモンドのコンテストに入選。その後、全日本写真連盟や東京写真研究会での活動を通して日本のアマチュア写真家育成に携わる。1957年に旭光学に入社し、東京サービスセンター所長に就任。1969年5月逝去。

<海外での写真展>
2006年9月 「変貌」(ベルリン Monochrome Gallery)
2008年1月 「Otto Steinert & Kiyoshi Niiyama」(ベルリン Kitchen Gallery)

<写真集>
1970年5月      遺作集「木石の詩」
2008年11月 「新山清の世界」パーレット時代  1937~1952
2010年11月  「新山清の世界」ソルントン時代  1947~1969

<収蔵>
Museum Folkwang(エッセン・ドイツ)

 

協力:(株)コスモス インターナショナル

----------
展示カタログ『KONTAKT/Kiyoshi Niiyama』を販売いたします。展示するコンタクトプリントを原寸で全て収録いたしました。
期間中販売いたしますので、この機会に是非手に取ってご覧ください。

“KONTAKT” Kiyoshi Niiyama

¥2,000 (+tax)
B5変形バインダー|カラー・モノクロ|80p|200部

2019年3月発行
著者:新山清
協力:新山洋一
デザイン:仁木順平
制作:キンカンパブリッシング


※イベントなどの情報は、WEBサイト・SNSなどで随時更新いたします。

2019.02.19

holo shirts.受注会 2019

毎年恒例のholo shirts.の受注会、今年は5回目となります。
受注会は3月9日(土)、10日(日)の2日間ですが、3月7日(木)から、holo shirts.のサンプルシャツや生地などを手にとってご覧いただけます。
自分の体にあったシャツ、仕様にこだわったシャツなど、自分にぴったりしっくりくるシャツを仕立てる良い機会です。。
ちょっと見てみて話を聞いてみたいという方も大歓迎です。是非是非お気軽にぶらっと立ち寄ってください。
(金柑画廊|太田京子)

----------
holo shirts.受注会

2019.3.9.Sat/3.10.Sun 11:00-19:00

プレオープン
3.7.Thu/3.8.Fri(※スタートは12:00からです。)
シャツ生地やサンプルシャツなど手にとって見ていただけます。

(受注会は11:00スタートとなりますのでご注意ください。)

ご予約の方を優先してご案内いたしますので、ご希望のご来店日時をお知らせください。
お問い合わせ:info※holoshirts.com (※を@に変更ください)

http://holoshirts.com
----------

2018.12.14

名和真紀子写真展「小さな旅」を開催いたします。

金柑画廊は、名和真紀子写真展「小さな旅」を開催いたします。
彼女は、10年程前に一人暮らしの男性の部屋を一人で訪ねてポートレートを撮影していました。恋人でもなく家族でもない、友人の時もあれば、撮影をきっかけに出会った人の時もある。ポートレートを撮影することそのものに、その場限りで起こりうる「親密さ」が生まれて、男性のプライベートな空間に女性が入るという行為でまた別の「許す」という「親密さ」が生まれてきます。彼女の写真に現れるその「親密さ」の距離感がこの写真の面白さでもあります。誰にでも見せているようで見せていない顔、自分だけのテリトリーである部屋に踏み込ませる側の決意というと大げさですが、見る側もそこを覗いてみたい、身近にある小さな秘境なのだと思います。「小さな旅」は、隣にある秘境を訪ねる旅でもあるのです。
今回の展示では、新たに撮り下ろしたポートレート作品が並びます。この機会に是非お立ち寄りください。(太田京子|金柑画廊)

————————————————————————
名和真紀子写真展「小さな旅」
2019.1.12 Sat – 2.3 Sun
木・金・土・日・祝 開催
12:00-19:00
————————————————————————
※1/20(日)18時からトークイベントのため、通常展示は17時までとなります。ご了承ください。

教えてもらったマンションのエレベーターを待っていると、スーパーの袋を持った人が、寒いですね、と声をかけてくれる。とっさに住人になったつもりで、エレベーターのボタンを押して挨拶を返す。
廊下の一番奥にあるピンポンを押すと、ドアを開けてくれた彼は初めて会ったのに意外な感じがする。友人の少しの説明とメールのやり取りで何か想像していたせいかもしれない。ベッドルームを横目で見ながら入ったリビングで、ちょっと高すぎる椅子に座ってコーヒーを入れてくれるのを待つ。紹介してくれた友人のことや窓から見える景色のことを話す。行きつけのお店でご飯を食べることや、タンゴに通ってること、子供の頃に仲が悪かったお兄さんと二人でよくゴルフに行くようになった話を聞く。私の好きな小説がおいてある。
撮り終わって帰るとき、出かける用があるからと、ドアに鍵をかけてカメラバッグを持って送ってくれた。

名和真紀子 Makiko Nawa http://nawaphoto.com/
岡山市生まれ。大阪で大学に通っていたころ、友人に写真部に誘われたことがきっかけで写真を始める。スタジオ勤務、アシスタントを経て、2003年以降フリーランスとして活動。ポートレートを中心に風景、ジャンルを問わず撮影する。雑誌や書籍、CDジャケット、広告Webなどで活動。近年の個展として「地図がなくても」(2017)などがある。

----------
トークイベント:「小さな旅」
名和真紀子 × MOTOKO
1/20(日)18:00-
入場料:¥1,000 +1ドリンクオーダー
----------

写真家のMOTOKOさんをゲストにお迎えしてトークを開催いたします。
「ローカルフォト」という地域に根ざした新しい概念を提案するMOTOKOさんと「小さな旅」でポートレートを発表している名和真紀子さん。自撮りで気にいるように自分の写真が撮れてしまうこの時代に”ポートレートを撮ること”がどういう意味を持ってくるのか。MOTOKOさんは地方へ、名和真紀子さんは彼らの自宅へと足を運びます。ポートレートを撮ることで彼女たちが何をしようとしているのか、それぞれの撮影現場のお話なども含めながらざっくばらんに話していただきます。

MOTOKO http://reallocal.jp/49420
写真家。1996年から写真家として東京を拠点にCDジャケットや広告など幅広く活躍する。2006年より日本の地方地域のフィールドワークを開始。滋賀県の農村をテーマとする「田園ドリーム」の撮影をスタート。2013年香川県小豆島で写真展「小豆島の顔」を開催後、小豆島在住の7人の女性のカメラチーム「小豆島カメラ」をオリンパス(株)とともに立ち上げる。以降、様々な地方で、写真によるまちづくり活動を実施。近年は “地域と写真” をテーマに「ローカルフォト」という“コマーシャル(public)でもなくアート (private) でもない、その間にある写真” という新しい概念で多くの官民連携のプロジェクトに参画。
主な事業として「長浜ローカルフォトアカデミー」、神奈川県真鶴町「真鶴半島イトナミ美術館」、山形県山形市「ローカルラーニングツアー山形」などがある。
近年の展覧会に、「田園ドリーム2018』(オリンパスギャラリー東京)、「田園ドリーム」(銀座ニコンサロン 2012)、小豆島の顔 (2013 小豆島2013)、作品集に「Day Light」(ピエブックス)「First time」(ソニーマガジンズ) 「京都」(プチグラパブリッシング) ほか。