私は彼らになれるような気がしていたのかもしれない。
食パンを摘む指先/目を擦る時に傾く首/洗い立ての食器/真っ白なTシャツ/斜め下にむける視線/
静けさの中に佇んでいると不意に現れる。
それはとても哀しくて、愛おしかった。
伊澤 絵里奈
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金柑画廊は、伊澤絵里奈写真展「静けさを掬う」を開催いたします。
二年前に開催した「しぐさをなぞる」に続いて、金柑画廊での二度目の個展となります。弟と夫と彼らとの関係性を撮影し続ける伊澤絵里奈。結婚をして離れて暮らすようになった弟、他人から家族となった夫。彼女にとって最も親密でありながら自分ではない身近な存在。埋まりようがない距離にジレンマを感じながらも、彼らと彼らが残す痕跡を彼女は写真に撮影します。日常の通り過ぎていく事柄を留めておきたい衝動が、彼女の写真には静かに満ちています。期間中には、写真雑誌の編集や展覧会制作を手がける池谷修一氏をお招きしてのトークイベントも開催いたします。この機会に是非ご高覧ください。
(金柑画廊|太田京子)
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トークイベント|ゲスト 池谷修一
2020.1.11 Sat|19:00 開場/19:30 開始|¥500(1ドリンクオーダー)
池谷修一 / Shuichi Iketani
横浜市生まれ。武蔵大学人文学部社会学科卒業後、展覧会制作の仕事を経て編集者に。写真雑誌や書籍を編集している。近年手がけた写真集に、ソール・ライター『WOMEN』、藤代冥砂『90Nights』、笠井爾示『七菜乃と湖』、GOTO AKI『terra』、ハービー・山口『新編・代官山17番地』、『ON THE CORNER―街と人々のスナップ』(ハービー・山口、中藤毅彦、大西みつぐ共著)、伴田良輔『CURVES』などがある。展示企画では、岩根愛「KIPUKA-Island in My Mind」(KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY)、笠井爾示「七菜乃と湖」(AL、HIJU GALLERY)、大西みつぐ「少年伝説」、小林紀晴「遠い光‐Lost Asia」(ともにKKAG)がある。
※(Closed:12.29 Sun - 1.4 Sat )