そこにある
目に見えない熱のかたまりが、そこにある。
ぎゅっと折り曲げた指の関節の間。
踏みしめた足の裏と、伝わる床の上。
視線に触れてほてる肌の表面。
ぴったりと重なるわきの下。
何かに向かって手を伸ばす時の二の腕に溜まる熱。
漂う、誰のものでもない熱。
走る時、眠る時、何でもない時、
それは小さくて大きなうねりを持ってそこにいる。
曖昧で確かな記憶の中に見る、熱の夢。
夢の終わりはまだ先のようで、私は少しだけ安心する。
hoshi mitsuki
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金柑画廊は、hoshi mitsuki「そこにある」を開催いたします。金柑画廊では二度目の個展となります。ドローイングのような緩やかで自由な糸の線を布に刺繍で落とし込むhoshi mitsuki。
刺繍がもたらす線は、スローモーションのようにゆっくり速度を落としていきます。
今回の展示「そこにある」では、“熱”をテーマにした作品が並びます。“熱”は、これまでの彼女の作品にも時折登場し、彼女が関心を持ち続けているテーマの一つでもあります。目には見えないけれど肌で感じることのできる“熱”に彼女が関心を持ち続けているのも、糸と布の摩擦や肌触り、行為としての刺繍を選んできた大きな理由なのではないかと思います。
この機会に是非ご高覧ください。
(金柑画廊|太田京子)
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クロージング・座談会
12/7(土)15:30 開場/16:00 開始
参加費 ¥500(ドリンク付)
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クロージング・座談会
12/7(土)16時から、展示開催中の作家 hoshi mitsuki を交えての座談会を開催いたします。
彼女の作品のテーマである“熱”は、形はないけれど確実にそこに存在しています。こういったものを“気配”ととらえることが出来ると思います。検索して“気配”を調べたら、「はっきりとは見えないが周囲の様子から何となく漠然と感じられる様子」と書いてありました。作品を作るということは、漠然と感じたものを形にしようとする行為であったりもします。作り手だけでなく、見えないものが形になったらと、誰しも一度は考えた事があるのではないかと思います。座談会ではそんな“気配”について、クロージングもかねて、ゆるっとよもやま話をできたらと考えております。ご興味ある方、是非ご参加ください。